西武 そごう

meet LUXURY

meet LUXURYは西武・そごうが厳選する
ラグジュアリーな商品やイベントをご紹介する
情報サイトです

パリ在住のフードジャーナリスト
伊藤文さんのコラム
ラグジュアリーな
パリのフード事情

パリで愛されるショコラトリー、
「西武・そごう」
バレンタインイベントに参加。

2024年12月26日(木)

圧倒的に支持されるパリで人気のショコラトリー2軒、「マダム・カカオ」と「ラ・ショコラトリー シリル・リニャック」。2025年「西武・そごう」のバレンタインイベントに登場します。この度は、初上陸の「マダム・カカオ」にクローズアップ。

パリの街を常に彩るのは、おしゃれなブティックであり花屋であり、カフェでもありますが、チョコレート店「ショコラトリー」でもあると思います。フランスはチョコレートを愛する国の一つ。チョコレートの1番の消費国として知られるのはスイスですが、フランスはブラックチョコレートの消費率が他の欧州国の平均値と比べても圧倒的に高く(消費の割合が他国の平均値が5%であるのに対し、フランスは30%)、洗練された嗜好品として根付いていることも窺わせます。

2023年の春、パリの中心地6区に出現したショコラトリー「マダム・カカオ」の存在に、そのオープン時から注目していました。「マダム・カカオ」の立地は、パリで最もセレクト力やアートディレクション力に強いと言われる百貨店「ボン・マルシェ」のそば。おしゃれで楽しいモードやグルメの店が立ち並ぶシェルシュ・ミディ通りにあり、場所選びから選択眼があったと思います。オレンジ色がかったような鮮やかなイエローを基調にしたビタミンカラーの店舗。街行く人が思わず足を止めてしまう、既存のショコラティエの印象とは一線を画する、スタイリッシュでインパクトのある店構えです。

そのカラーの採用には、「エレガントでありながら、楽しさ、可愛さを伝えるブランド作りにしたかったから」と、オーナーシェフのクリステル・ブリュアさん。店内にも、イエローからオレンジまで、グラデーションのある明るいカラーを使用した、さまざまなチョコレートボックスが並べられていて、その喜び溢れる世界観に心を奪われてしまいます。ところで、ブリュアさんのキャリアは並外れています。直近では2019年から大統領官邸であるエリゼ宮のシェフ・パティシエを務めていました。ブリジット・マクロン大統領夫人からの信頼を一身に受けて、ブリュアさんの独立にも背中を押してくれたそう。「カカオ」を愛した大統領夫人にオマージュを捧げて、「マダム・カカオ」と命名したそうです。

この店のアイコンは「リュシアン」というウサギの形をしたチョコレート。大きなフィギュア形から、プラリネ入りのボンボン、はたまた「フリチュール」という、ミニで薄手のチップチョコレートまでがラインアップ。ボックスに一体詰められたフィギュアは、なんとも愛らしく、食べるのがもったいないくらいですが、チョコレートの美味しさには勝てません。
ところで、リュシアンとは、13歳になるクリステルの息子の名前です。小さい頃から味にうるさくて、店のチョコレートの味わいにも指摘をしてくれるそうで、クリステルにとって大切な心の支えなのでしょう。このウサギのように小さくて可愛い男の子かと思いきや、ここ数年ですっかり成長して、すでに身長183センチで大柄だそう。「ラグビーマンを目指して練習に励んでいるの」と嬉しそうにクリステルは話します。

「マダム・カカオ」の魅力は、なんといっても、「リュシアン」をはじめとして、すべてのチョコレートに、クリステル自身のストーリーが詰まっていることでしょう。今回日本で紹介されるチョコレートひとつひとつを味わっていただきながら、思いを馳せてくださいましたら、おいしさにも一層の喜びが加わるのではないかと思って止みません。
例えば2種類のタブレット・ショコラ。2枚ともクリステルがシグネチャーとしてお勧めするタブレットです。そのうちの1枚は、香ばしいピーナッツ入りですが、パチパチはじけるペタセタキャンディをしのばせていて、楽しさが弾けます。それは、クリステルがパリのブローニュの森の中にある3つ星レストラン「プレ・カトラン」のシェフ・パティシエだった頃、彼女の才能にスポットライトが当てられた伝説のスペシャリテ「ポム・スフレ」の楽しい食感からインスピレーションを得たタブレットだそうです。吹きガラスのように砂糖の飴を膨らませ、青リンゴの形に似せて作った砂糖細工の中に、青リンゴ、シードルの香りのゼリー、ライスパフ、ペタセタキャンディを閉じ込めた美しいデザートでした。ちなみに2018年、クリステルは「世界の最高レストラン」協会から世界最高パティシエ賞を授与され、このデザートが表彰されたのでした。ライスパフ入りのもう一枚も、「ポム・スフレ」に紐づけることができます。またブリジット大統領夫人が愛するタブレットチョコレートの1つでもあるそうです。

また、今回アソート売りする、小さなチョコレートやビスケットの中にも、クリステルの思いが詰まっています。例えばクリステルの故郷ロレーヌ地方のスペシャリテの一つ、プレッツェル。普通はアペリティフとして食べられるパンの1種で、さまざまなサイズがあります。それをクリステルはミニサイズにして、チョコレートがけにしたお菓子として提供。塩味が効いたパリッとした食感で、チョコレートの相性が抜群です。また厚手の長方形の「ミンレ」。昔ロレーヌ地方は炭鉱場でもあり、特別な鉱石が採れたのだそう。「ミンレ」とは鉱石のことで、地元を支え続けた産業に今でも地元のショコラティエたちは敬意を込めて、鉱石の形をした「ミンレ」を作っているという歴史があるそうです。クリステルは、最高のナッツのペーストとチョコレートを合わせてビターに仕上げています。

こうしたプレッツェルやミンレをはじめ、ボールの形に仕立てたプラリネやパート・ド・フリュイ(フルーツゼリー)などを、本店ではメタルボックスにたくさん入れて販売しています。昔、クリステルのおばあちゃんが、さまざまなお菓子をメタルボックスに入れて用意してくれていたという思い出から、メタルボックスを使うことに。それを開ける喜びを、皆さんにも共通して体験してもらいたいそうです。

そう、今回はリュシアンのフィギュアのチョコレートには、3つの楽しみをプラスしました。蝶ネクタイを結んでいるタイプ、ハートをあしらったタイプ。そして髭をあしらったものです。遊び心たっぷりの「マダム・カカオ」の世界を十分に楽しんでいただけたらと思います。

Photos/Natalia Khoroshaieva, Aya ITO

フードジャーナリスト 伊藤 文Aya Ito

1998年より、在仏食ジャーナリスト・アナリストとして活動。
数々のメディアでの取材・執筆、食関係の本の出版、翻訳の経験、また食分野で活躍する様々なタレント(経営者、シェフ、生産者など)との深い交流を生かし、食を通して日仏をつなぐDOMAを創立(在仏)。
2017年には、パリ12区バスティーユ界隈にショールーム・アトリエ・物販店「atelier DOMA」をオープンする。
和庖丁の販売、メンテナンス、研ぎ教室を中心に、日本の食文化やものづくりの精神を伝える事業も展開する。

アーカイブはこちら

BACK TO TOP

店舗のご案内STORE INFORMATION

SHARE

※インターネットエクスプローラー(Internet Explorer)では
ご利用いただけません。