西武 そごう

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パリ在住のフードジャーナリスト
伊藤文さんのコラム
ラグジュアリーな
パリのフード事情

DUCASSE BACCARAT
フランス料理界の帝王アラン・デュカスと
フランスのクリスタルの
ラグジュアリーブランド「バカラ」による、
新スペース誕生。

2024年11月22日(金)

2003年に、パリの拠点を工房が立ち並ぶパリ10区のパラディ通りから16区に移した「バカラ」。
16区の建物はアメリカ合衆国広場に面した大邸宅。20世紀の社交界の中心的な人物でもあったマリー・ロール・ドゥ・ノアイユ子爵夫人の所有物だったという豪奢な建物です。以前はミュージアムも併設していましたが、一旦クローズドとし、フランス料理界の帝王とも言えるアラン・デュカスと組んで、新しい空間に生まれ変わらせています。

シャンパーニュの最高責任者を務めたマリー・エンリケス女史が「バカラ」社のトップに就任したのは2022年。「バカラ」社が創業260年を迎える今年2024年に、新しいステージを生み出すことはミッションでもありました。そして、アラン・デュカス氏とともに16区の拠点のリニューアルに挑戦することに。少しずつ改装を加え、現在オープンしているのは、2階のレストランとバー。そしてブティックですが、エントランスを潜った時に、圧倒されるのは、グラフィティで覆われた石壁でした。歴史的な邸宅の壁にグラフィティを彫り入れるとは。新しい時代に扉を開いたことを提示する大胆な仕掛けだと思います。アーティストは、今のパリを席巻するデザイナー、ハリー・ヌリエフ。1トンもの重さのクラシック・シャンデリアとのコントラスト、新旧の融合がまさに見事です。

2階へと導く螺旋階段の下の踊り場には、ダイナミックなピースが。バカラを代表する「メディチベース」をマルセル・ワンダースが再解釈した大きな作品で、まさに、過去と現在に架ける橋をコンセプトとして誕生させたそうです。
1階と2階に配置された、テーブルや椅子も含めた木製のピース群は、森の彫刻家とも称されるジャン・ギヨーム・マティオ作。マルセル・ワンダースの作品の敷台ともなっており、クリスタルガラスと木の調和にも驚かされます。

実は、2003年のオープンののち、フィリップ・スタルクのインテリアで「クリスタル・ルーム」という名のもとにレストラン空間が設けられていました。星つきのシェフたちがメニューを監修してきたことでも知られてきましたが、今回のアラン・デュカスによるリニューアルで、すっかりイメージの異なる空間に生まれ変わりました。シェフを務めるのは、アラン・デュカス・グループであらゆるパラス・レストランのエグゼクティブシェフとして腕をふるい、ミシュランガイドの3つ星も獲得した経験を持つクリストフ・サンターニュです。腹心のロバン・シュロデールと、バカラのエスプリを反映した繊細な料理を作り上げます。

写真は左から、「鴨のフィレのクロスティーニ、コスモスの花と」、「牡蠣とクルスティヤン」、「オマールの青、白、ローズ」。こちらのオマールの一皿はレストランの象徴的な一皿だそうで、オマール・ブルーにローズの香りを纏わせ、トマト水を浸したタピオカとオマルディーヌソースを添えたもの。昼のコースメニューは、アントレ、メイン、デザートですが、夜は9皿のコースで240ユーロ。セレクトを尽くしたワインをバカラのグラスでいただきながら、デリケートな料理を楽しむひとときは至福です。

またお昼から深夜まで休憩なくオープンしているバー「ミディ・ミニュイ」はとても使い勝手が良く、こちらもおすすめです。ぜひ、アラン・デュカスが心酔するバーマン、マルゴ・ルカルパンティエのカクテルを味わっていただきたいです。
中央のカクテルは美食の旨味を表現する「エピナル」で、この場所のエンブレム。ジン、ベルモット、蒸留オリーブ、松の実、パルメザン、乳清、バジリコのブレンド。「ナルシス」というグラスに似合うカクテルにと、このプロジェクトが立ち上げられた当初からマルゴの頭にあったレシピです。また、左写真の中央は苦味と旨みのアペリティフ「JMF ネグローニ」。ジン、日本酒、アマロ、キノコのブレンド。JMFとは、ノアイユ子爵夫人邸を監修したジャン・ミッシェル・フランクから。右は「ゼニス」。エスプレッソとキューバのラム、ゴムの樹とコーヒーのリキュール、オリーブオイル、ライムのブレンドです。

回廊に設けられたショーケースにはバカラのエンブレム的なグラスが展示されています。来春には庭園もオープンするということで、新スペースに期待が高まります。

Photos/Philippe Vaurès Santamaria, Mickaël Bandassak, Bertille Chabrolle, Laurine Paumard, Aya Ito

フードジャーナリスト 伊藤 文Aya Ito

1998年より、在仏食ジャーナリスト・アナリストとして活動。
数々のメディアでの取材・執筆、食関係の本の出版、翻訳の経験、また食分野で活躍する様々なタレント(経営者、シェフ、生産者など)との深い交流を生かし、食を通して日仏をつなぐDOMAを創立(在仏)。
2017年には、パリ12区バスティーユ界隈にショールーム・アトリエ・物販店「atelier DOMA」をオープンする。
和庖丁の販売、メンテナンス、研ぎ教室を中心に、日本の食文化やものづくりの精神を伝える事業も展開する。

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