西武 そごう

meet LUXURY

meet LUXURYは西武・そごうが厳選する
ラグジュアリーな商品やイベントをご紹介する
情報サイトです

パリ在住のフードジャーナリスト
伊藤文さんのコラム
ラグジュアリーな
パリのフード事情

Conservatoire des Hémisphères
世界の香りを記憶と共に届ける
現代を代表するティーショップ誕生。

2024年5月24日(金)

パリのサンジェルマン・デプレ界隈、百貨店「ボンマルシェ」の裏手に伸びる、美味しいもの屋やデザインブティックが立ち並ぶバック通りに、「コンセルバトワール・デ・へミスフェール」という名のティーショップが2011年にオープンしました。シックな店構えの店内に入ると、落ち着いた木製家具に囲まれ、お茶が納められたお茶缶が整然と並んでいます。静謐な空間の中に、知性が宿るような雰囲気といったらいいでしょうか。「コンセルバトワール」とは、何かを守る芸術院のような場所を指すため、そんなエスプリを湛えた店なのです。

「へミスフェール」とは「地球の半球」という意味です。創業者でアート・ディレクターのアリス・ビュローさんが、お茶の虜になり、世界中に旅をしながらお茶にかかわる場所を訪ね歩き、たくさんの生産者との会話をする中で、この世の中に知られていない未知の世界を、お茶を通して知ってもらいたいという思いが沸々と湧き上がって、この店の創業に至ったそう。「知られざる半球の素晴らしい世界」。それが「へミスフェール」という言葉の中に集約されています。

お店の提案するティーのカテゴリーは大まかに3つにわかれています。一つは「グラン・クリュ」。つまり、フレーバーなしの、産地から直接仕入れた高品質のお茶をそのままに提供するもの。中国はもちろん、セイロン、インド、ベトナム、アフリカのマラウィ。もちろん日本からも品質の高い八女の玉露、煎茶、静岡のほうじ茶など。白、緑、黄、ウーロン、プーアールなどと、厳選した葉を世界中から揃えているという充実度で、ティーマニアにとっても嬉しいショップの登場といえると思います。

そして「フレーバーティ」のカテゴリー。緑茶、黒茶のいずれかをベースとして、さまざまなフレーバーを閉じ込めたフレーバーティの豊富さ、また香りの多様性、おいしさは唯一無二のものです。写真のように木製の棚の中にサンプルのフレーバーティを収納しています。お客はその真鍮のシリンダーの引き出しに隠された香りを比べながら、自分の好きなお茶を選ぶという仕掛けもとても素敵だと思います。上右の写真のフレーバーは「リヴ・ゴーシュ(左岸の意)」。日本の煎茶に、ローズの花びら、フランボワーズ、イチゴのドライフルーツ、そしてオレンジ花水を加えた華やかなフレーバーティです。一つ一つのフレーバーに、この味わいのブレンドが生まれたストーリーも語られています。「リヴ・ゴーシュ」はモロッコのマラケシュ郊外にある椰子の木のオアシスから。椰子の木立から香り立つローズ、赤いフルーツやオレンジ花水の香りがどことなく立ち込める思い出がこのフレーバーの着想に至ったそうです。

左から「リヴ・ゴーシュ」、中央は「ボレロ」、右は「ヘミングウェイ」。「ボレロ」は緑茶にリンゴとマンゴー、ローズの蕾、ひまわりの花のミックス。妖艶なボレロの音楽から着想。「ヘミングウェイ」は、ウーロン茶と中国の煎茶のブレンドに、オレンジピール、胡桃などをミックスしたもの。官能的なウーロン茶とフレッシュな煎茶を合わせ、スパイシーさと深みを加えてベルエポック時代のフランスを表現。

こうしたクリエーションとも言える香りのブレンドの原点には、アリス・ビュロー氏の幼少期の経験が重なり合うといいます。母親がお茶を愛して、たくさんのティーボックスを集めていたそう。その香りを隠れて嗅いでいたという、いいしれない経験が蘇るのだそうです。

ところで、店内内装を飾るさまざまなオブジェ、例えば大理石の台や地球儀などは、アリス氏のファミリーの持ち物だということ。お茶を入れるメタルの入れ物は、50グラム入りのミニと、150グラム入りの2種類ありますが、すべてインドの職人による手打ちのものというこだわり。その美しさから、プレゼントにも喜ばれる人気の商品ということです。フランスではお茶の愛好家は、コーヒーに比べて少ないけれど、クリエーションの優れたフレーバーティから、よりお茶に関心を持ってもらえるきっかけになるのではとアリスさん。
3つ目のカテゴリーは「ハーブティ」。南アフリカのルイボス、マラウィのミントなど、厳選した質の高いハーブで、その豊富さとブレンド力から、デトックスなど、ウェルネスを謳っているのも魅力的です。

贈り物にはパーソナライズしてくれるパッケージも素敵です。名前を手書きにしてくれる他、リボンも選べます。フランスらしい物語が閉じ込められたフレーバーティを大切な人にプレゼントしてはいかがですか?
https://hemispheresparis.com/

Photos/Alexia Maggioni, Aya Ito

フードジャーナリスト 伊藤 文Aya Ito

1998年より、在仏食ジャーナリスト・アナリストとして活動。
数々のメディアでの取材・執筆、食関係の本の出版、翻訳の経験、また食分野で活躍する様々なタレント(経営者、シェフ、生産者など)との深い交流を生かし、食を通して日仏をつなぐDOMAを創立(在仏)。
2017年には、パリ12区バスティーユ界隈にショールーム・アトリエ・物販店「atelier DOMA」をオープンする。
和庖丁の販売、メンテナンス、研ぎ教室を中心に、日本の食文化やものづくりの精神を伝える事業も展開する。

アーカイブはこちら

BACK TO TOP

店舗のご案内STORE INFORMATION

SHARE

※インターネットエクスプローラー(Internet Explorer)では
ご利用いただけません。