パリ在住のフードジャーナリスト
伊藤文さんのコラム
ラグジュアリーな
パリのフード事情
昔からグルメの街として名高い、美食の都 パリ。
パリ在住の食のジャーナリストとして活動する伊藤文さんが、世界中の食通をうならせる
数々の美食の中から選りすぐりのものをピックアップして、毎回お伝えいたします。
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ピエール・エルメ初のショコラトリー
「アンフィニマン・ショコラ」、オペラ座そばに誕生世界的なパティシエとして知られるピエール・エルメさん。1998年に初めて自身の店をオープンしたのが日本。パリの店舗は2001年にオープンと、着実に足場を固めながら、革新的とも言える独創的なパティスリーを次々と生み出してきました。特にファッションの世界と同じように「春夏コレクション」、「秋冬コレクション」という季節のリズムで、新しい商品を発表してきたのも、注目を集める一つの仕掛けでもあったでしょう。そんな彼が、パリ・オペラ座のそばに、自身として初めてのショコラトリー「アンフィニマン・ショコラ」を誕生させました。オープンはこの4月下旬でした。ちなみにアンフィニマンとは「無限大」という意味があります。
2024年7月10日(水)
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Ritz Paris
リッツ・パリで過ごす、ラグジュアリーな美食のひとときパリの中心地1区にあるヴァンドーム広場の壮麗さにはいつも目を奪われます。南に伸びるカスティリオーネ通りの突き当たりにはチュイルリー公園があり、北側にはラ・ぺ通りが伸びていて、オペラ広場に当たります。
中央にはナポレオン1世がアウステルリッツ戦勝を記念したブロンズの記念柱が聳え、上にはカエサル皇帝像が掲げられており、広場は圧倒されるような雰囲気と言っていいでしょう。カルティエやヴァン・クリーフ&アーペル、ブシュロンなど、時計や宝石のラグジュアリーブランドが広場に立ち並んでいますが、広場の西側を支配するのが、世界的にその名を知られる高級ホテル「リッツ・パリ」なのです。2024年6月28日(金)
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Conservatoire des Hémisphères
世界の香りを記憶と共に届ける現代を代表するティーショップ誕生。パリのサンジェルマン・デプレ界隈、百貨店「ボンマルシェ」の裏手に伸びる、美味しいもの屋やデザインブティックが立ち並ぶバック通りに、「コンセルバトワール・デ・へミスフェール」という名のティーショップが2011年にオープンしました。シックな店構えの店内に入ると、落ち着いた木製家具に囲まれ、お茶が納められたお茶缶が整然と並んでいます。静謐な空間の中に、知性が宿るような雰囲気といったらいいでしょうか。「コンセルバトワール」とは、何かを守る芸術院のような場所を指すため、そんなエスプリを湛えた店なのです。
2024年5月24日(金)
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「ドメーヌ・ドゥ・プリマール/Le Domaine de Primard」
「週末になるとパリ郊外に出て、緑に囲まれた場所で息抜きをする」というのが、コロナ禍を経たあとのパリジャンたちの習慣になりつつあることを感じています。腕のあるシェフたちも、パリを離れて、生産者により近い田舎に、自身のオーベルジュやレストランを構えて、自然のリズムとともに料理を提供するということに、価値を見出すようになったと思います。そんな背景の中、ひときわ熱いまなざしを集めているのが2021年にオープンした「ドメーヌ・ドゥ・プリマール」です。
2024年4月22日(月)
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安藤忠雄が改修を手がけた美術館
「ブルス・ド・コメルス ピノー ・コレクション」内の
レストランで味わう『穀物』の楽しみ。パリ中心地のレアール地区は、近年ダイナミックに変化する新興地域です。2021年5月にオープンした美術館「ブルス・ド・コメルス ピノー ・コレクション」もそのレアール地区の西側に位置しています。もともとは18世紀に建造された「穀物卸市場」。世界中の穀物が集積する穀物取引所だったという歴史があります。公明正大を掲げた取引所だったため、丸天井は天窓になっており、明るい日差しが差し込む内部。歴史的建造物に指定されたこの建物を、基本構造を守りながら、安藤忠雄氏が気高いまでに改装しています。
2024年3月15日(金)
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創業100年を迎えたホテル『サン・レジス』が提案する、
モダンなティータイムパリの目抜き通り、シャンゼリゼ大通りの裏通りに佇む、由緒あるホテル『サン・レジス』。昨年創業100年を迎えて、今までにない食体験を楽しめるティータイムを提案することに。シェフ・パティシエとして白羽の矢がたったのは、ジェシカ・プレアルパトさん。2019年には「世界のベストレストラン50」が選ぶ「ベストパティシエアワード」も受賞した精鋭です。「パティスリーを料理する」と言ってはばからない、今までにはないスイーツの世界を表現します。
2024年2月8日(木)
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JADE GENIN/ジャド・ジュナン
のラグジュアリーなビーガンチョコレートパリのオペラ通りに2022年にオープンしたショコラトリー「ジャド・ジュナン」。パリのチョコレートに詳しい人であればピンと来るかもしれませんが、ショコラティエでありコンフィズリー(砂糖菓子)の美味しさでも有名な、ジャック・ジュナンの娘です。日本でもバレンタインデーのイベントでも大人気。私自身も、チョコレートだけでなく、彼の作るヌガーやパート・ド・フリュイ(フルーツゼリー)のファンです。娘のジャドのことは、ここ数年、父ジャックのクリエーションを手伝っていたので注目していました。特に、復活祭の時にお目見えする、ペインティングを施した卵型のチョコレート。色彩豊かでダイナミック。それを彼女が手がけていたのです。その後ジャドは独立し、自身のショコラトリーをオープン。その話題はパリで持ちきりになったのです。
2024年1月10日(水)
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ALCHIMIE Whisky / Chocolat
ウィスキーとチョコレートの錬金術クリスマスが刻一刻と近づいてきました。さまざまなラグジュアリーブランドは、クリスマスにぴったりのプレゼントを提案しますが、高級チョコレート店で知られる『ラ・メゾン・デュ・ショコラ』もそう。MOF(フランス国家職人章)のタイトルを持ち、2012年から同店のシェフ・ショコラティエを務めるニコラ・クロワゾー氏が指揮を取り、その持ち前のクリエーション力を最大限に生かすための様々な作品を、毎年生み出してきました。そして、今年のクリスマスのために生まれたギフトボックスにも注目が集まっています。
2023年12月8日(金)
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パティスリーの宝石箱『バタフライ』のクリスマスのケーキ
パリ・コンコルド広場に面したパリ最高峰のパラスホテルの一つ『ロテル・ド・クリヨン』。世界中の名士から愛されるホテルとして知られています。2017年の大々的なリニューアル来、マイナーチェンジを繰り返していますが、パティスリースペース『バタフライ・パティスリー/Butterfly Pâtisserie』とサロン・ド・テスペース『バタフライ・ルーム/Butterfly Room』は今年の春に密やかに登場して話題を呼んでいます。
2023年11月18日(土)
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Cravan/クラヴァン
サンジェルマン・デプレの歴史的な文学地区の中心部、17世紀に遡る建物内におしゃれなカクテルバーが誕生しました。その名は「CRAVAN(クラヴァン)」。プロジェクトは、LVMHグループの「モエ・ヘネシー」によるもので、CRAVANのミクソロジーのノウハウとアール ド ヴィーヴルを紹介する3つのカクテル バーと、リッツォーリ NYと提携したライブラリーを備えています。最上階には、屋上のミニキオスクにアクセスできるワークショップがあり、招待制でアクセスできます。
2023年10月18日(水)