ユーモアあふれる童子をテーマに、あらゆる事物の背景にある「たましい」「気」「エネルギー」を表現する彫刻家・籔内佐斗司。東京藝術大学大学院で仏像の保存修復に携わったのちに創作活動を始め、独自の技法による木彫を基軸としながら、ブロンズ作品や、一瞬を切り取った彫刻に時間を取り込む動画風のシリーズを手がけるなど、常に新たな試みに挑戦してきました。公共空間に設置された作品は日本全国約100カ所にものぼり、籔内の彫刻は多くの人々に親しまれています。近年では平城遷都1300年祭公式キャラクター「せんとくん」のデザインを担当し、大きな話題を呼びました。また舞台芸術のプロデュースや、「せんとくん」の応援団として仮面舞踏団「平成伎楽団」を結成し、ますます活動の幅を広げています。
日本古来の生命観と仏教的世界観を創作の根幹に置く籔内は、本展覧会のタイトルにある「やまとぢから」について、私たちの祖先が遺してくれた叡智と活力であり、次の時代を創り上げていくために今こそ本領を発揮すべきものであると語ります。本展では、童子をはじめ、初期の彫刻から「平成伎楽団」にいたるまでの様々な作品、仏像の保存修復による文化財保護への取り組みを通して、30年以上におよぶ籔内の多彩な活動をご紹介いたします。作品の奥底に流れる「やまとぢから」を、ぜひ感じ取ってください。