《雲海黄山雨晴》1984年 後藤純男美術館蔵

後藤純男は1930(昭和5)年、千葉県東葛飾郡木間ケ瀬村(現・野田市木間ケ瀬)の無量寿院に生まれました。真言宗住職であった父親の跡を継ぐため13歳から僧侶としての修行を始めます。しかし、絵を描くことが大好きだった後藤はその思いを断ちがたく、山本丘人、田中青坪らに師事し日本画を学びました。卒業後は教職を続けながら師の青坪が所属する日本美術院(院展)ヘ出品し、ついに1952(昭和27)年22歳の時、再興第37回院展に念願の初入選を果たします。ちょうどこの頃修行のために制作から離れざるを得なくなった後藤は「どうせ苦労するなら好きな道でしろ」という父親の言葉で意を決し、仏道を捨て、さらに教職も辞して画業に専念します。以来、日本美術院の重鎮としてのみならず、我が国を代表する日本画家のひとりとして活躍し、1997(平成9)年には後藤純男美術館(北海道空知郡上富良野町)が開館。80歳を超えた今もなお精カ的に日々制作に励んでいます。

本展は、後藤純男美術館開館15周年、後藤の画業60年を記念して開かれるもので、同館の所蔵品を中心に、画家が生涯追求している3つの主要なテ一マである北海道風景、大和路、中国風景を描いた大作を中心に38点、素描15点展覧いたします。

「風景の本性」を描くために厳寒期に取材し、現代の日本画として余白の代わりに抽象表現を取り入れた北海道風景。後藤の代名詞とも言える大和の寺院風景では目に見えぬ神仏の存在をも描き切り、中国を題材とした作品では、悠久の歴史を感じさせるスケールの大きな作と、時間が止まったかのような長閑な田園風景を描き、作域の広がりをみせています。いずれのテーマも自然の移り変わりを描きながら、森羅万象に宿る仏性をみつめ、人知を超えたものへの畏敬や信仰をかたちにした後藤自身の心象風景です。絵筆に込められた60年にわたる後藤の祈りをご体感ください。

開館時間 午前10時~午後8時
※1月2日(月・祝振)~1月25日(水)
※入館は閉館の30分前まで。
主 催 そごう美術館、読売新聞社
入館料

大人900(700)円、大学・高校生700(500)円、中学生以下無料

※消費税含む。

※()内は前売および20名さま以上の団体料金。

※前売券はそごう美術館またはセブンイレブン、ローソンチケットにてお取り扱いしております。

※そごう美術館での前売券販売は2011年12月28日(水)までとなります。

※障害者手帳をお持ちの方、およびご同伴者1名さまは()内の料金にてご入館いただけます。

後 援 神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会
協 力 後藤純男美術館
協 賛 そごう・西武