1878(明治11)年、三重県津市の素封家に生まれ、家業の木綿問屋をはじめ、百五銀行頭取など、戦前戦後の財界で活躍した川喜田半泥子[本名・久太夫政令(きゅうだゆうまさのり)1878-1963]。財界人として多くの要職に就き人望を集める一方、稀代の趣味人として広く知られた半泥子は、陶芸、書画、建築、写真など、さまざまな美術、芸術を自ら手掛け、その多才ぶりを発揮しました。
なかでも、茶碗を主とした陶器作りには、50歳を過ぎた頃からひときわ情熱を注ぎ、自邸に窯場を設けて、膨大な数の作品を制作しています。既成の概念にとらわれることなく、自由な発想で創作した品々は、井戸、粉引、刷毛目、志野、瀬戸黒、唐津、伊賀、信楽、色絵といったあらゆる分野に及び、どれもみな品格ある作品として高く評価されました。また、青年時代に熱中した写真や、自邸や茶室を新築する際の設計アイデア、洒脱とユーモアを交えた書画類など、残された作品からは、半泥子の人柄や芸術に対する造詣の深さが読み取れます。
本展では、80点余りの茶碗を中心に、水指、茶入、花器、香合、茶杓といった茶道具類に書画や写真などを加えた約200点を展覧し、半泥子芸術の全貌をご紹介いたします。半泥子の作品の多くは、友人知人へと贈られたため、これだけまとまった数が一堂に会することはめったにありません。魅力あふれる半泥子作品をご覧いただく、絶好の機会といえるでしょう。
1 粉引茶碗 銘「たつた川」 石水博物館蔵
2 伊賀水指 銘「慾袋」 1940(昭和15)年 石水博物館蔵
3 黒織部茶碗 銘「富貴」 1940(昭和15)年頃 個人蔵
4 瀬戸唐津茶碗 1940(昭和15)年頃 個人蔵
5 四方香合 銘「早春」 個人蔵
6 茶杓 銘「乾山」 1941(昭和16)年 石水博物館蔵
7 波和遊 How are you? 1960(昭和35)年頃 石水博物館蔵
※会期中、一部の作品を展示替えいたします。
半泥子が作陶した茶碗で抹茶をいただき、ふだん触れることのできない、
半泥子茶碗の味わい深さを感じていただく茶会です。
※定員に達しましたので締め切らせていただきました。
・日時:2月19日(金)・2月21日(日)午後1時~、午後3時~
・場所:そごう美術館展示室内特設会場
・協力:中西宗孝、石水博物館
・参加費:2,000円(消費税含む。別途、入館料が必要となります)
・定員:各回50名(先着順。定員になり次第締め切らせていただきます)
・参加方法:そごう美術館までお電話でお申し込みください。
・電話 045-465-5515(美術館直通)
・毎週土曜日午後2時から
|