日本美術院は、横浜出身の岡倉天心が中心となって1898(明治31)年に創立した日本画の研究団体です。日本美術の伝統を維持しながら、自分たちの時代の新しい美術を開発、樹立することを目指して意欲的に活動し、当時の日本画壇に清新な息吹を与えました。
1906(明治39)年から1913(大正2)年の間、日本美術院の研究所は上野の谷中から茨城の景勝地五浦に移りますが、1914(大正3)年、前年に没した天心の志を受け谷中にて再興。横山大観を中心に、下村観山、今村紫紅、速水御舟、安田靫彦、小倉遊亀、片岡球子など近・現代日本絵画史を彩る俊英が多く輩出されました。このように日本美術院は、創立から110年を超えた今もなお、日本画壇の中心的な団体として活躍を続けています。
再興院展は、1914年以来続く日本美術院による日本画の公募展です。毎年9月の東京展を皮切りに、全国を巡回し、岡倉天心の出身地である神奈川・横浜での開催は今年で23回目を迎えます。神奈川はこれまで、また現在も多くの作家がアトリエを構えてきた土地です。この山海の自然豊かで奥深い文化の風土は、今も平山郁夫、松尾敏男、伊藤髟耳ら県内ゆかりの作家たちに愛され、さらには次代の作家たちへと受け継がれています。
本展では、同人作家33点をはじめ、受賞作品、および神奈川県出身・在住作家の入選作品を含む総計88点を展覧いたします。現代日本画の精粋の数々をご覧いただける、またとない機会といえるでしょう。
|