1992年、フランス・オルリー空港近くの倉庫で発見された、レオナール・フジタ(藤田嗣治 1886-1968)による縦横3メートルにおよぶ4点の大作壁画。真四角な画面の中でさまざまな肌色の人物たちが絡み合うこの群像壁画は、6年の歳月を経てついに修復を終え、つややかな象牙のような表面を取り戻し、昨年日本で公開され大きな話題を呼びました。
本展は、この4点の壁画に加え、これまでまとまった形で紹介されることのなかった、フジタが日本で手掛けた大作を中心に紹介する展覧会です。
東京美術学校を卒業後フランスに渡ったフジタは、研究を重ね、1920年代、透き通るほどに白く温かみのある肌を描き出し、「素晴らしき乳白色の地」の画家としてパリ画壇の話題をさらい、時代の寵児となります。渡仏後二度目の帰国となった1933(昭和8)年から、フジタは日本の様々な企業に依頼され多くの大作壁画を制作しました。ブラジルコーヒー陳列所(銀座・聖書館内)、そごう大阪店・特別食堂、銀座コロンバン、関西日仏学館(京都)などを飾ったこれらの大作は、屋外の風景のなかで遊ぶ複数の人物を描いたものが大半を占め、その後フジタが手掛けることになる大画面群像表現において、重要な意味を持つ作品といえるでしょう。
この他に、ランスの「平和の聖母礼拝堂」建設のための資料、そして晩年フジタが手作りした日常小物など、120点余りの作品を展覧いたします。
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