2009年、横浜は開港から150周年という記念の年を迎えます。これを記念して、黒船やペリー、明治の文明開化期の風物を題材に、数多くの木版画を制作した横浜出身の版画家川上澄生(1895-1972)の展覧会を開催いたします。
1895(明治28)年、川上澄生は横浜紅葉坂(現・横浜市西区紅葉ヶ丘)に生まれました。6歳のとき横浜から東京へと移り住みますが、幼少期を過ごした、文明開化が息づく横浜を、川上は魅力的な都市として生涯愛し続けます。22歳でカナダ、アラスカへと渡り、帰国した後、日本創作版画協会展に《黒き猫》が初入選を果たし、本格的に版画作りを始めました。その一方、栃木県立宇都宮中学校(現・宇都宮高等学校)の英語教師の職に就き、昼は教師、夜は好きな版画制作に励む日々を過ごし、生涯に数千点という膨大な数の作品を制作したのです。
川上作品の主なテーマであったのが、「南蛮」「文明開化」「横浜」など異国情緒漂う風俗、風景です。さらに、詩と絵を組み合わせた作品や、身の回りの置物や静物を題材にしたものなど、愛らしい小品が目を引きます。また木版画だけでなく、木版の絵本、ガラス絵、泥絵、革絵、焼絵、木工品、書籍の装幀など作品の種類は多岐にわたりました。
本展では、栃木県の鹿沼市立川上澄生美術館をはじめ、黒船関連の作品を多数所蔵する新潟県柏崎市の財団法人黒船館の所蔵品などから約500点の作品を展覧し、川上芸術の魅力に迫ります。
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